『一物全体食』と言う言葉を聞いたことがありますか?
私たちは毎日、食べ物(他の生き物の命)を食べて生きていますが、ひとつの命を丸ごといただくことは少ないと思います。主食であるお米をとってみても、籾(もみ)を取った後の丸ごとである玄米を食べるのではなく、周りの糠を取り除いた白米を食べています。
パンを主食にしている場合も同じです。周りにある栄養いっぱいで、おいしい部分を取り除いた、真っ白な部分をこねて白いパンを食べています。
本来は可能な限り、ひとつの生き物を丸ごと食べることが、私達の健康を支える上でも大切なことです。それは、そのひとつの命であることで、すでにバランスが取れ存在していたからです。
一物全体食をすることで、私たちの体や気持ちにどんな嬉しい効果があるのかを『玄米の持つ優れた働き』を通してお伝えします。
一物全体食からかけ離れた暮らし
私たちの普段の食生活はあまりにも精製された素材にあふれ、野菜やお肉、魚などを部分的にしか食べていない暮らしをしています。そのため、毎日の食卓が「一物全体食」とは限りなく遠いところにあることに、ピンと来ることもありません。
お肉やお魚は筋肉という一部分ばかりを食べてしまう
なんでも、かんでも一物全体食がいいと私も思っているわけではありません。たとえ一物全体食がいいと思っても、できないこともあります。
ただ、ちょっと意識を向けることで、簡単により一物全体食に近い食べ方に変えることができます。ひとつの命はできるだけ丸ごと頂くことで、その命を無駄にしません。そして、私達の身体も健康になっていきます。
ちょっと前(30年以上前?笑)は、マグロやブリは、かなりのご馳走だったはずです。お正月や何かのお祝いの時に食べる、高級な魚でした。普段に食べる魚と言えば、目にわらを通しためざし(いわし)、ししゃも、さんまやアジが主流でした。(海が近くにあれば、もっと色々な地の魚が出たでしょう)
それが今ではマグロが食べたければ、回るおすし屋さんで気軽に食べられるようになりました。以前は、かなりのご馳走だったブリのアラと大根の煮つけが、食卓に上がることは今では珍しくなっています。
そして、イワシやししゃもは、丸ごと食べる。頭から尻尾まで食べていました。これは、一物全体食が身体にいいと思ってそうしていたわけではなく、命を大切にすること食べ物を無駄にしないことが大きかったと思います。
中には、サンマやアジでさえもほとんど残すところはなく「猫が食べるところがない」と言われる人もたくさんいました。
それが今では、マグロの赤みだけ。トロだけ。鮭の卵(いくら)だけと、生き物の一部分を特定して食べる機会が増えています。
部分食ばかりしているなぁと気がつけば、時には小さめのお魚を食べる選択ができます。また、魚とお肉は「皮と骨のそばが一番おいしい」んです。おいしいところを食べずに、お手軽な部分ばかりを食べていては「もったいない?」かも…。
現代人が不足している栄養素は、玄米に含まれている
マクロビオテック(玄米菜食)をしている人は『一物全体食』と『身土不二』という考えをとても大切にしています。そのため、お米は精製していない玄米を主食にしています。
玄米は稲の命そのもので、水につけておくと、角のようなかわいい芽を出します。玄米は生きています。その点、白米はいくら水につけても、芽は出ません。ここに、玄米と白米の大きな違いがあります。
そして、玄米と白米の栄養素にも、明らかな開きがあります。
玄米は栄養素の宝庫です。完全栄養食と書いているサイトも見かけるほどです。玄米と白米のカロリーはほとんど同じなのですが、含まれている微量栄養素がまったく違います。
白米 | 玄米 | |
食物繊維 | 0.48g | 2.24g |
ビタミンB1 | 0.06mg | 0.23mg |
ナイアシン | 0.32mg | 4.64mg |
ビタミンB6 | 0.03mg | 0.35mg |
鉄 | 0.16mg | 0.96mg |
マグネシウム | 11.2mg | 78.4mg |
リン | 54.4mg | 208mg |
カリウム | 46.4mg | 152mg |
ビタミンE | 0.8mg |
水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく含くむ珍しい食品
食物繊維は大きく分けると水に溶けやすい「水溶性」と、水に溶けづらい「不溶性」があります。食物繊維は、さまざまな食べ物に含まれていますが、水溶性と不溶性の両方を含むの食品はあまりありません。
(オクラにも水溶性と不溶性食物繊維のバランスがとても良いです。オクラの持つパワーをもっと知りたい人は、別のページを参考にしてください。
https://kaigai-tabitodeai.info/okra-benpi-shiawase-serotonin-2438)
水溶性の食物繊維は主に果物に含まれるペクチン、海草に含まれるアルギン酸があります。ペクチンやアルギン酸は水に良く溶けながら腸まで運ばれ、善玉菌のエサになることで腸内環境を改善していきます。
不溶性の食物繊維は豆やごぼう、きのこなどに多く含まれます。腸の中で大きく膨らむので、腸の動きを活発にして、掃除をしながら便秘を解消していきます。ただ、頑固な便秘のときに不溶性の食物繊維ばかり取ってしまうと、逆に便秘を悪化させることもありますので気をつけましょう。
また、食物繊維には「肥満ホルモン」とも言われるインシュリンを抑制する働きがあります。中性脂肪を蓄積するインシュリンの出る幕がなければ、脂肪がつきにくくなるんです。
疲労回復と肥満予防にはビタミンB1
ビタミンB1は糖分を分解して、エネルギーに変える働きがあります。そのため、ビタミンB1が不足してしまうとエネルギー不足になり、糖分が分解されずに残り脂肪へと変っていきます。代謝力を上げたい時にも、ビタミンB1は欠かせません。
疲れの原因とも言われる、乳酸も体内にたまってしまうので、イライラしたり集中力が続かないなど、精神的にも影響が出てきます。
激しいスポーツや長時間勉強をするときなどには、意識して取りたい栄養素です。
成人女性は1.1mg、男性は1.4mgが、1日の目安です。
生命活動に欠かせない酵素を助けているナイアシン
白米に比べると10倍以上も多く含まれるナイアシンですが、どんな働きをするのか知らない人が多いのではないでしょうか?
すべての生命活動をするときに必要なのが、『酵素』です。呼吸、思考、代謝、運動、自然治癒力などのを行うときに、酵素の働きがないと始まりません。私たちの体の中には、500種類もの酵素が働いています。この酵素たちの手助けをしているのが、ナイアシンです。
その他には、脂肪や糖質の分解、皮膚や粘膜の炎症を防ぐ働きがあります。
さまざまな働きをする、ビタミンB6
たんぱく質からエネルギーを作る時に大切な働きをするのが、ビタミンB6です。髪の毛や爪、皮膚や粘膜などの成長を促します。神経伝達にも重要なかかわりをしていますので、気持ちを落ち着かせる作用もあります。
乱れがちなホルモンバランスを整える効果もあるので、女性だけではなく、ストレスがたまりやすい人、疲れがたまっている人も積極的に取りたい栄養素です。
つわりや月経前症候群、アレルギーの症状も和らげる働きもあります。
慢性的に不足しがちな鉄分
さまざまな食べ物があふれているように見える現代の食生活ですが、実は大切な微量栄養素が、不足している人がほとんどです。加工食品ばかりに偏ってしまうと、カロリーは足りているけれど、中身を良く見てみるとビタミンやミネラルがほとんど含まれていないことがあります。
特に女性はどの年代であっても、意識して鉄分を取るようにしましょう。鉄分が不足すると、立ちくらみや貧血だけではなく、動機や息切れのような、深刻な症状となって表れることもあります。
鉄は血液を作り出すだけではなく、酸素を体中に運ぶ時にも欠かせない成分です。また、筋肉の中に酸素を貯蔵し、筋肉の働きを促す時にも使われています。脂肪を燃焼するためには、筋肉の存在は欠かせません。
鉄分をしっかり補給して、筋肉がしっかりと働くようにすると、余分な脂肪燃焼につながります。
便をやわらかくするマグネシウム
マグネシウムはナイアシンと同じように、酵素の働きを助ける時に活躍します。特に、酵素が代謝をするときにマグネシウムが大切な働きし、基礎代謝を高めます。代謝力が衰えると、排毒をする力や脂肪を燃焼する力も弱まります。
体の機能をしっかり保つために、マグネシウムはとても大切な役割をしています。
また、マグネシウムは、体内に水分を貯める特徴があります。腸内にも充分な水分がたまるようになるので、硬くなりがちな便をやわらかくする効果があります。一緒に食物繊維を取るようにすると、自然なお通じが習慣になっていきます。
カルシウムだけはない、骨を丈夫にするリンの働き
骨や歯を丈夫にする栄養素は、カルシウムと思っている人がほとんどだと思います。実は、リンもカルシウムと同じように、骨と歯を丈夫にする働きをしています。
神経伝達や筋肉の働きを補助する時にも活躍しています。また、体内にリンが不足すると、疲れやすくなったり、口内炎ができやすくなることもあります。ただ、リンはたくさんの食物に含まれているので、カルシウムを積極的に取ることを意識することで、リンとカルシウムの体内でのバランスを保つことができます。
むくみやすい人は、カリウム不足かも?
カリウムは、私たちの身体にある細胞膜の中にあります。ナトリウムと一緒に働きながら、細胞同士の水分を調節しながら、バランスを保つ働きをしています。カリウムが不足すると、夏バテになりやすかったり、食欲がなくなったり、イライラにつながることもあります。
肝臓に溜まっていく老廃物を排出する時にも、カリウムは重要な働きをしています。
玄米の優れたダイエット効果で自然と美しくなれる
やわらかいものばかりが食卓に並んでいると、たいして噛まないので、どんどん食べてしまいます。その点、玄米は、白米に比べると噛む回数が自然と増えるので、満腹中枢が刺激されるので食べすぎることはありません。
また、豊富に含まれた食物繊維が血糖値の上昇を防ぎお腹がすきにくくなりますので、ダイエット効果につながります。
そして、玄米には、ミネラルやビタミンなどがバランスよく含まれているので、体の中にも、必要な栄養素が過不足なく満たされます。食べすぎてしまうひとつの原因として、微量栄養素の不足があると言われています。
カロリーが足りないのではなく、必要な栄養素が足りないために、空腹の信号が送られてしまい、ついつい食べてしまう。
この時に一物全体食の代表である玄米のように、バランスの取れたものを食べれば、栄養素が満たされるます。そうとは気づかずに、栄養面の偏ったファストフードやインスタントものですませてしまうと、必要な微量栄養素が補給されません。自然にすぐに空腹を感じてしまい、結果として、過食をして体重が増えてしまいます。
授乳中に白米のお餅で乳腺炎になりましたぁ
授乳中におすすめな食べ物や気をつけたほうがいいものがありますが、体質などに違いがあるので、必ずしもみんなに共通することではありません。
私はたくさんおっぱいが出るほうではなかったので、天ぷらを食べるといつもより量が増えるのを感じていたので、野菜の天ぷらをよく食べていました。(100%菜種油で揚げたもの)
でも、中には揚げ物を食べると乳腺が詰まってしまうから、食べない人もいます。
白いお餅は血液をどろっとさせると聞いていたので、白米のお餅は食べませんでした。中には、授乳中に白いお餅を食べてもなんともない人もいますが、私はお餅が食べたくなったら、玄米もちを焼いていました。
きっと3人目ということもあり、気が緩んだんだと思うのです。保育園のお餅付き大会に参加をしたときに、いつもは授乳中なら白いお餅だったので、食べずにきたのです。ところが、その日は、搗き立てのもちもちの誘惑に勝てずに、ひと切れふた切れと食べてしまったのです。
食べて1時間もするとおっぱいのあたりがヘンに張り出し、家に戻る頃には乳腺が詰まり、あっという間に高熱が出ました。あまりの自然な流れに、びっくりしました。
白米のお餅で血液が、重たくなり、細い乳腺が詰まる。そのつまりを解消するために、熱が上がる。人間の身体って、すごいなぁと思いましたが、結構しんどかったです。丸2日は、起き上がれませんでした。
解決策と言えば、おっぱいを飲んでもらうことで、詰まりを解消させる。そういう時のおっぱいはおいしくないのですが、イヤがらずに飲んでくれたのが救いでした。
まとめ
微量栄養素の宝庫ともいえる玄米は、健康面だけではなく美容面、そして、精神面でも優れた効果を発揮します。ただ、どの人も同じように玄米の効果を実感できるのかと言うと、それは、確実ではありません。
まずは、食べてみることをおすすめします。
もしかしたら、ものすごく体質に合っていて、気になっていた便秘や肩こり、不眠やイライラなどの症状がどんどん解決していくかもしれません。血糖値が下がり、食べ過ぎすることもなく、自然と理想の体型に近づいていけるかもしれません。
玄米を始めたいけれど、どうやってお料理したらいいのかわからない人に、簡単で最も食べやすいのではと思えるお料理方法をお伝えします。少し多めに作れば、子供のおやつにも早変わり。
時々、玄米食を食卓に加えることで、不足しがちな微量栄養素を補うことができます。食べるものが私たちの体を作り、健康を左右するとも言えます。玄米を時々食べて、健康面、美容面をアップしていきましょう。
コメント