おうちご飯が健康のためにいいと分かっていても、限られた時間と体力の中で、毎食手作りごはんを作るのは簡単ではありません。ここでは、なるべく簡単に、そして予算を抑えながら、美味しくって体も喜ぶおうちご飯を作るポイントをお伝えします。
一番のポイントは美味しい素材を見極めて買うことです!そのためには、旬の野菜を選ぶことです。
「これなら、今日からできそう」と思えることがあれば、ぜひ試してみてください。
旬が分かれば、簡単で美味しいご飯が作れる
科学技術がものすごく進歩しているので私たちの暮らしはとても便利になり、身の回りの多くのことを電化製品がしてくれるようになりました。すでに当たり前のことですが、ネット環境が整っているのでわざわざ出かけなくても、自宅にいながらにして、くさんのことができるようになりました。
科学の発展のおかげで私たちの暮らしは便利に快適になったのは確かだと思うのですが、その恩恵として、時間や気持ちにゆとりができたか?と言うとそうでもありません。
30年、40年前と比べるとかえって忙しく、せわしなくなっているのではとさえ思います。
どうしてなのでしょうか?
掃除も掃除機があり、自動で拭き掃除までしてくれる便利な機械も出回っています。洗濯だって手で洗って絞るのではなく、スイッチを入れれば乾燥までしてくれる便利な時代になりました。
電車だって車だってスピードアップしているので、その分早く自宅に帰れるかと言うと、これも違います。仕事だって、色々なことが瞬時に進められるので、残業が減り、定時に仕事が終わっても良さそうです。実際には、昔で言う「サービス残業」をしている人も少なくありません。
どうしてなのか、答えはいつも見つかりません。そんな時は、ミヒャエル・エンデのモモを思い出すばかりです。
簡単で、美味しいご飯は素材で決まる
料理の腕も大切ですが、それ以上に美味しさを左右するのはやっぱり素材です。使う野菜や、お肉、調味料が美味しければ、シンプルで簡単なお料理でもとっても美味しく仕上がります。
旬の野菜なら美味しさと栄養、そしてお財布にも優しい「3拍子」が揃っている
いつがその野菜の旬なのかがわからなくなっていることも問題ですが、お料理の本を開いてみてもどの野菜も1年中収穫できることが前提に書かれている本がたくさんあります。
これではレシピ通りに作ろうと思うと、どうしても野菜の旬は考えずに買い物をすることになります。
旬の野菜を買えば、その野菜の性質にあっていますので自然に美味しく栄養価も高くなります。旬なのでたくさん収穫できるために、安いです。
夏に定番カレーを作ろうと思うと
例えば、定番のカレーを作ろうと思うとにんじん、じゃがいも、玉ねぎが必要になります。
じゃがいもは、多くの地域で6月頃収穫されることが多く、新ジャガが出回るのは、初夏です。九州では、年に2回栽培されているので、サツマイモと同じ、秋にもう一度旬を迎えます。
玉ねぎの旬もじゃがいもと同じくらいで、5月から6月です。どちらの野菜も収穫してからきちんと保存をしておけば、冬を越すまで食べることができるのでほぼ1年中、カレーの具材として活躍します。
(特にじゃがいもは芽がにょきにょきでで、皮がくちゃくちゃになったものが甘みが強くとても美味しいです。寒さが厳しくなる前に収穫して、3月頃になると目がもやしのように伸びだします。もちろん芽は食べません。)
問題はにんじんです。
にんじんの旬は本来は冬。霜に当たった人参は甘みも栄養も凝縮して、果物かと思うほどみずみずしくって美味しいです。甘すぎるので辛いカレーが好きな人は、旬のにんじんは少なめに使いましょう。
夏に、にんじんが収穫できるように種まきをすることもできます。でも、夏のにんじんはどうしても固くて、美味しさも半減以上です。夏のにんじんを子供が食べてしまうと、にんじん嫌いになる可能性が高まります。
旬のにんじんが出回る前の春先から秋までの間に、じゃがいも、玉ねぎ、人参の定番カレーを作ろうと思うと、気がつかないうちに旬から外れた人参をカゴの中に入れています。
旬の野菜は、美味しくって安い
野菜にとっての『旬』とは、何でしょうか?
その野菜が一番のびのびとストレスなく育つ季節になります。もともとその野菜の原種が、育っていた環境がその野菜の旬になります。
スーパーを見渡せば、色とりどりの、様々な形の野菜がたくさん売られています。生まれたときからある野菜たちばかりなので、もともと日本の土地で育った野菜と思っている人が多いでしょうが、実はそうではありません。
例えば、トマトの旬はスイカやきゅうりと同じように、暑い太陽が降り注ぐ夏です。トマトは南米のアンデス地方。スイカは南アフリカの砂漠地方、きゅうりはインドやネパールから来ました。
もともとその野菜が暮らしていた環境に近い季節に育てると、その野菜の生命力が強まり、味も美味しく栄養価も高くなります。
旬の野菜は、お買い得
その野菜の旬に合うように種まきをすると、それほど手を掛けなくてもすくすくと大きくなっていきます。病気にもかかりにくく、虫がついても大事になることもほとんどありません。
そのうえたくさん収穫できるので農家にとっては、旬の野菜を育てると余計な出費を掛けずにたくさん収穫できます。(ただ、ほかの農家も同じようにたくさん収穫できるので、売値は下がってしまうことがあるのですが…。)
そのため野菜を買う立場からすると、旬の野菜はとてもお値打ちです。美味しくって、栄養価もたくさんあって、しかも安い。ときたら、旬の野菜を選んで買わないのはもったいないですよね。
でも、野菜の旬なんてわからないし、いちいち調べていられないと思う人もいるでしょう。野菜の旬を知りたいときの、目安をお伝えしますので迷ったときの参考にしてください。
野菜の旬の見極め方
街で生まれて街で育った人にとっては、自分たちがいつも食べている野菜がどんな風に育つのかを見る機会はほとんどありません。
(ベランダを上手に活用したり、週末地方へ出かけてみたり、WorkawayやWWOOFを利用して、国内や海外に農業ボランティアに出かけよう!)
夏が旬の野菜たちのほとんどは、どんどん地面から離れ、太陽に向かって大きく成長します。
とうもろこしやオクラは、上へ上へと大きくなり、かなり背い高ノッポの野菜です。夏が旬の葉物には、モロヘイヤや空芯菜があります。モロヘイヤはエジプト、空芯菜は東南アジアから日本へ来ました。
葉物なので、それほど背が高くはなりませんが、モロヘイヤは、私の胸辺りまで大きくなります。夏が大好きな野菜たちは、お陽さまの光を少しでもいっぱい吸収するために、上へ上へと成長していきます
かぼちゃやサツマイモは秋が旬です。気温も下がってくるので、少しでも寒さから身を守るために、大地に近いところで葉を広げ実をつけるようになります。
冬が旬のごぼうや大根は、葉っぱは土の上に出ていますが、土の下に大きな根をはります。冬が旬の葉物は、気温がどんどん下がるようになると、葉を土の上にピッタリとつけるように広げます。ほうれん草も同じです。スーパーで売っている夏のほうれん草は、葉が上向きに成長していますが、ほうれん草の旬に合わせて育てると、大地の上に葉を大きく広げるので、まるで花が咲いたようです。
マクロビの考えも同じです。上に成長していく野菜は陰性で、体を冷やす作用があります。その逆で土の中で育つ根菜類は、陽性で体を温める働きがあります。
八百屋さんや地元の市場を活用しよう
日頃の買い物はスーパーを利用する人が多いのではないでしょうか。スーパーなら食材から日用品まで、買い物ができるので助かります。
ただ、旬の野菜を買おうと思った時には、八百屋さんなら野菜の旬に詳しいでしょうし、地元の市場なら新鮮な旬の野菜が豊富に並んでいるはずです。直売所なら、輸送や途中の業者に払うお金がかからない分、お得に買物ができます。
オーガニックの野菜にこだわりたい人は、農家に直接定期購入の申込みをしましょう。新鮮な旬の野菜を決まった周期で送ってもらえます。
その野菜の旬が来るまで『待つ』喜び
お料理の本の材料に『にんじん』と書かれていても、にんじんの旬から外れているときなら、他の野菜で代用しましょう。または、にんじんがなくても、気にせずにそのままお料理します。
もし、にんじんが主な材料のレシピならば、にんじんの旬が来るまで待ちましょう。心待ちにすると、食卓に上がったときの喜びが増します。
レシピはお料理の一例にすぎない
絶対にレシピ通りに作ろうと思うと、季節外れの野菜をどうしても買わなくてはなりません。価格も高く、味もそれほど美味しくない上に、農薬や化学肥料の使用量も気になりますので、健康面でも不安要素が残ります。
旬を全く気にしないで、お料理をすすめてしまうと、素材の味を活かしたシンプルなお料理はできません。味気のない素材を使ってお料理するなら、添加物に頼ったり、どうしても手間を掛けることになってしまいます。
食べるのも作るのも、あなたです。
レシピ集はとても参考になりますが、すべて同じように作ることもありません。レシピ集はヒントとして参考にして、旬を考えながらあなたのイマジネイションも加えてみてください。
旬の野菜を十分に食べたら、次の旬まで待ちましょう
野菜を育てていた時に、季節の野菜を色々作っていました。でも、10種類の種を蒔いたからと言って、全ての野菜が収穫できるかと言うと、なかなかそうはいきません。
途中で手が足りなくなってしまったり、雨が続いて苗が溶けてなくなってしまったり、雨がまったく降らずに枯れてしまうことも。食べる状態にまで育てるのは、時には簡単ではありません。
すると、手元にあるのは大量のナスばかりだったり、次から次へと収穫できるのは大根だけだったりすることもあります。ナスばっかりで3食作ったり、大根だらけの食卓だったこともありました。
これでもかと言うほど、同じ素材でお料理したこともありますが、それでもどれも美味しかったのは、旬の野菜であったことが大きいと思います。
同じ大根ばかりの食卓でも、それがあの辛くて硬い夏の大根だったら、どうなっていたでしょうか。もちろん辛い大根おろしにも魅力はありますが、何日も3食夏大根は厳しいです。
(品種改良が進み、暑さを好む大根も出回っています。)
あれだけ、ナスや大根ばかり食べた日が続いても夏が終われば、次の夏までナスは食べられません。大根ステーキや大根の炊き込みご飯、大根の胡麻和えまで作って、毎日大根づくしでした。でも、旬が終わってしまうと、あのみずみずしくって、柔らかい大根に出会えるのは、次の冬です。
待つ喜びが生まれ、また季節がめぐって、その野菜の旬が訪れた時には、格別の幸せを感じます。
旬の野菜をふんだんに使った簡単レシピ
ほんの一例を紹介します。音楽などの芸術に、限りがないように、お料理のレシピも無限に広がっていきます。直売所や八百屋さんで旬の野菜たちに出会った時に、何かのインスピレーションが届いたら、あなた『オリジナルのおうちごはん』作ってみてください。
じゃがいもと玉ねぎため、にんじんの葉っぱがあれば
今は日本でも色々なじゃがいもが栽培されるようになっているので、お気に入りのじゃがいもがあったら、そのじゃがいもで試してみてください。
じゃがいもの芽が出ていたら、きちんと取ります。あとは、気になるところだけ包丁で取り除き、皮も一緒にスライスしていきます。あまり薄すぎるよりも、少し厚いほうが私は好きです。
お好みの油を敷いて、塩と一緒にじゃがいもを入れます。ある程度炒めたら蓋をして、じゃがいもに火を通します。スライスした玉ねぎと塩を加えて、玉ねぎが甘くなるまで、炒めたら出来上がりです。
にんじんの葉っぱがあれば細かく切って、あらかじめ塩と一緒に炒めておきます。お皿にもった、じゃがいもとの玉ねぎの上ににんじんの葉っぱを添えたら、完成です。
本当に大根とにんじんだけ?
大根とにんじんしかなくても、ご飯がすすむ美味しい、おうちごはんが作れます。大根もにんじんも気になるところだけ皮を向き、短冊切りにします。フライパンに塩と一緒に入れて、蓋をして中火よりやや弱い火で蒸していきます。大根とにんじんから水分が出るので、水は加えなくて大丈夫です。
大根にもにんじんにも火が通ったら出来上がりです。お好みで醤油を回しかけてみてください。これだけで、ご飯がもりもり食べられます。
菜の花のパスタ
春が来たら冬の間に溜め込んでしまった、老廃物などを排出して春が来た喜びを満喫しましょう。
ふきのとうなどが持つ苦味は、デトックス作用があるので、春に食べるのにぴったりです。なかなか山菜が手に入らない時には、菜の花がおすすめです。私は個人的には、白菜の菜の花が好きですが、小松菜だってチンゲンサイだって、春になると菜の花を咲かせます。
お気に入りの油で、食べやすい大きさに切った菜の花と塩を入れて炒めます。にんにくがあれば始めに軽く、炒めておきましょう。菜の花に火が通る頃に、パスタが茹で上がるよう合わせておくと、茹でたての美味しいパスタに仕上がります。
菜の花を炒めたフライパンに、茹で上がったパスタを加え、お好みで塩や醤油で味を整えたら出来上がりです。
おもてなしにも!里芋の仲間八つ頭のおかゆ
他の里芋でもいいのですが、八つ頭と呼ばれる里芋が特に美味しいです。
お正月の頃に出回るので、意識してお店の中を探してみてください。名前に「八」と「頭」がつくことから、縁起がよいと言われ、おせち料理によく使われます。里芋のように小さいお芋ではなく大きくなると、ひとつで500gほどに。
せっかくなので、なるべく大きいままお料理して、八つ頭を丸ごといただきましょう。いつも作るおかゆの中に、八つ頭を入れて炊くだけです。1日以上つけておいた玄米を2割ほど入れると、栄養価がぐんと増します。
白米と八つ頭だけでお粥を炊く場合にも、お塩をちょっと加えてください。
まとめ
素材自体にその美味しさが詰まっていれば、余計な調理や味付けは必要ありません。素材選びのポイントは、旬の野菜を選ぶことです。
とってもシンプルに美味しく仕上がるので、毎日とは言わないまでも、気軽におうちご飯が作れるのではと思います。そして、美味しいだけではなく、栄養素もぎっしり詰まっているので、心も体も喜ぶ幸せご飯のできあがです。
見た目はとてもシンプルでもエネルギーにあふれてた、ほんとうの意味での贅沢なおうち飯をぜひ作ってみてください。
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